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・田母神空幕長の論文についての分析 ~この論文の問題点とは何か~
 田母神空幕長の論文問題が注目されています。マスコミや野党は鬼の首を取ったような騒ぎです。そして与党は本人を更迭・定年扱いにしたり、防衛相を減給処分にしたりと火消しに躍起です。
 マスコミでは案の定偏向報道がなされ、この問題の本質は報道されていません。そこで当Blogでは今回の論文は何が問題なのかを、マスコミが報道しない点から考えてみたいと思う。
 まずは、田母神氏の論文を読んで下さい。マスコミでは、「侵略国家とは濡れ衣であり、侵略を美化」 ほとんどこの単語一点しか報道されません。マスコミが誘導したい方向は明確ですが、これでは全容が見えません。全体を見ずに単語のみを抽出し、その単語が全てであるように事実を偏向して報道しするのがマスコミや野党の常套手段です。まずはそこから脱却するために全文を読む必要があります。A4サイズで9頁です。5分もあれば読めると思う。まずはご一読下さい。
 →田母神氏の論文PDF(アパグループサイト直リンク)


  要約すると、田母神氏の主張は4つに分けられると思う。

(1).日本が戦前中国や朝鮮半島に軍を置いたのは、正当な条約の下で駐留したのであり、今のアメリカ軍が日本に駐留しているのとなんら変わりはない。中国において次第に軍を進めたのは、蒋介石や毛沢東による度重なるテロ活動を制圧する為であった。さらにコミンテルンと共謀した共産党は、盧溝橋事件などを画策したり、またアメリカと共謀してハル・ノートを突きつけ、日本が戦争せざるを得ない状態に導いたということが明らかになりつつある。我々が侵略国家だったというのは濡れ衣である。 という主張。

(2).当時の日本が侵略国家であるというのであれば、アジアやアフリカを軍事力で支配した欧米列強は侵略国家ではなかったのか?と言う主張。

(3).日本は欧米列強が決して行わなかったことを、アジア諸国で行った。それは莫大な金額を掛けた工業投資であり、インフラ整備であり、教育であった。その結果、経済成長、生活レベルの向上が見られ、また優秀な人材は日本人と同じように中央に取り入れて優遇した。支配地の人種は差別し冷遇するのが当たり前だった欧米諸国には見られなかったことであるという主張。

(4).あの戦争のあと、実際にアジアやアフリカの国家は欧米の支配から解放された。東南アジアやインド等、当時の日本の行動を高く評価する国もたくさんいる。我々は東京裁判にて、全ての戦争を押しつけられ、さらに偏向された歴史観も刷り込まれた。しかし真実はそうではない。歴史の真実を見据え、日本人としての誇りを取り戻すべきだ。という主張。


 論文中での記載は前後していますが、大体上記4点に集約されると思う。では、上記の中でどこが問題なのか。実は、1から4まで間違っていると明確に指摘できる点は殆どありません。逆に言えば全て正しい。問題があるとすれば、主張1の中で、日本が中国やアジア諸国に軍を進めたのは、コミンテルンやアメリカの謀略であるという主張のみしか謳われていないことです。読み手には、コミンテルンの暗躍や、アメリカによるハルノートがなかったら、日本は決して軍を進めることはなかった。日本は自らの意志に全く反して戦争に巻き込まれていったと読み取れます。

 確かにそういった要因があったのは事実でしょう。しかし、その裏には当時の欧米諸国と同じような帝国主義的な日本政府の考えや国家戦略があったということを否定するのは難しいのではないでしょうか。あの戦争は、世界の情勢と日本の国家戦略が相まって起こったことであるというのが公平な見方でははないかと私は考えます。唯一その点に疑問はありますが、他の2~4の部分はまさに正論と言える点も多いです。当Blogで何度か紹介していますが、東南アジア諸国他では、教科書などでは当時の日本の統治を肯定的に紹介しており、あの戦争がアジア開放のきっかけになったことも教えています。しかし、日本ではそういう面は包み隠され、教えられることはありません。そのような、ある1面をわざと隠し、日本の負の部分ばかりを主張する現在の歴史観から脱却し、違う面からも正確に歴史を捉えよと言う田母神氏の主張は賞賛されて然るべき正論です。しかし、たまに主張する人や書籍が現れると、変人か極右扱いされ、徹底的に攻撃されます。それが閣僚や与党に近い人物であれば尚更です。今回の例はまさにそれに当たると言えるでしょう。

 では、田母神氏に全く落ち度がないか言えばそうとも言えないと私は思う。上記で挙げたように、この論文の中には、戦争に向かう過程の中で日本には全くその意志や責任がなかったように読み取れる節があること。ここは論文の内容として疑問符を付けざるをえません。そして最大の落ち度は、自分が世間に影響力を及ぼす立場でありながら、野党に包囲された現在の政府の置かれた立場を踏まえた上で行動しなかったこと。前述のように、こういった主張を政府に近い筋が行うと、徹底的に潰されるという日本の悪しき習慣はまだまだ生きています。この結果得をするのは、現在であれば民主党をはじめとする野党であり、困るのは自民党です。これがきっかけになり、民主党が政権を取るような事態になれば、田母神氏の思い描く世界とは真逆の方向に進むことになります。本人の会見を見ていると、さながら武力を使わない筆による確信的なクーデーターのようにも思えますが、私には今回の結果で、自身の思い描く理想の日本の姿に近づくとは思えないです。

 日本は民主主義で言論の自由が保障された国家です。田母神氏が何を言っても自由です。そして前述のように今回の主張は正論であり、現在と将来の日本に必要な内容が込められています。空幕長まで勤め上げ、日本の現状を憂う憂国の想いも、そしてその想いを世に出して日本を変えようという考えも大変ご立派だと思う。しかし日本を変えて行くには、今の政治の現状から考えれば、真正面から正論でぶつかるだけではうまくいかないのもまた事実です。欲を言えば、田母神氏にはそのあたりの配慮が欲しかった。空幕長の職を正式に引退した後、かつて空幕長を経験した一民間人として執筆活動、講演活動を通じて日本を正しい方向へ向ける活動を公式に始めて頂ければ一番良かったのではないか。そう思う。


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参考書籍
日本よ、「歴史力」を磨け―「現代史」の呪縛を解く

櫻井 よしこ



黄文雄の大東亜戦争肯定論

黄 文雄



インドネシアの人々が証言する日本軍政の真実 (シリーズ日本人の誇り)

桜の花出版編集部





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